不動産売却時にかかる税金は?

不動産売却の際に忘れてはならないのが、消費税や所得税などで支払う税金です。税金は思った以上にかかります。そのため、たとえ利益が出たとしても損益は税金を考慮した上で考えなければいけません。ただ、必ずしも税金が発生するというわけではないのです。

不動産売却した際、大別すると損失が出た場合利益が出た場合の2パターンに分ける事ができます。

損失が出た場合には税金を払う必要はありませんが、利益が出たときでも払わなくて良い場合があります。まず課税対象となる譲渡所得を計算するところから始めます。

目次

不動産売却の譲渡所得税とは?

不動産売却によって生じた利益(所得)を譲渡所得と呼び、給与所得などのほかの所得とは切り離して計算する分離課税方式となります。

譲渡所得には所得税(国税)・住民税(地方税)が課せられるのですが、さらに2037年(令和19年)まで、所得税に対して2.1%相当額の復興特別所得税が加わります。これら譲渡所得に対する税金を合算して譲渡所得税と言います。

譲渡所得は、その不動産を購入した時や売却した時にかかった費用を差し引いた金額です。単純に売却価格全額に課税されるわけではないので安心してください。

譲渡所得=譲渡価額(売却価格+税金精算額)-(取得費+売却費用)

■譲渡価額

譲渡価額とは、売却の際の収入金額のことです。

不動産売却の際、売買契約書に記載されている売却価格(譲渡代金)のほかに、不動産の引渡日から年末までの期間に対応する固定資産税および都市計画税に相当する金額を買主から売主へ清算することがあります。

本来、1月1日時点での不動産所有者が1年間分の納税義務者として固定資産税・都市計画税を負担するため、買主が負担する義務はありません。そのため、清算した金額は「立替金額」とは見なされず「収入金額」となり、固定資産税・都市計画税といった税金の清算額は譲渡価額に算入されます。

同様にマンション管理費や修繕積立金などの清算をすることもありますが、これは所有者移転後の買主負担となるべき費用のため、「立替金額」の清算と見なされます。そのため譲渡価額には含まれません。

■取得費

取得費にはその不動産の購入代金と、購入した時にかかった経費も含めて計算します。具体的には下記のような経費が取得費として計上できます。

  • 土地・建物の購入代金、建築費用
  • 購入時の測量費、埋め立てや土盛りなど造成費用、建築の為の建物解体費など
  • 購入時の税金(印紙税・登録免許税・不動産取得税など)
  • 購入時の仲介手数料

ただし、建物は取得時からの時間経過によって価値が減少するため、上記の経費を含めた取得費から所有期間中の減価償却費相当額を差し引く必要があります。あくまで会計上での計算のため、実際の劣化や管理状態には関係なく、計算式を用いて減価償却費を求めます。

なお、土地は経年による価値の低下はないものとして減価償却を行いません。不動産の購入金額を「土地の取得価額」と「建物の取得価額」に分けて、建物の取得価額にのみ減価償却を行います。マイホームとして利用している居住用不動産と、賃貸物件や店舗・事務所として利用している事業用不動産では減価償却の計算方法が異なりますが、ここでは居住用不動産での計算方法について説明していきます。

・減価償却費=取得価額×0.9×償却率×経過年数(※)

※経過年数…建物の築年数ではなく、購入してから売るまでの経過年数を指します。6か月以上の端数は1年として、6か月未満の端数は切り捨てます。

◆居住用不動産の償却率

建物の構造償却率
木造0.031
木骨モルタル0.034
(鉄骨)鉄筋コンクリート0.015
軽量鉄筋造骨格材3mm以下0.036
骨格材3mm超4mm以下0.025

居住用不動産の場合、建物の構造のみで償却率が決まるので、新築物件でも中古物件でも同じ償却率で計算します。

例えば木造戸建て住宅で、購入した際の建物取得価額が1,000万円・購入から10年経過している場合、築年数に関係なく減価償却費および取得費は下記のように求められます。

減価償却費=建物取得価額1,000万円×0.9×償却率0.031×経過年数10年=279万円
取得費=建物取得価額1,000万円+土地取得価額+取得時の経費-減価償却費279万円

購入時に土地と建物の価額が記載されていない場合

中古マンションの場合等、購入時の土地と建物の区分がわからないことがあります。その場合は「建物の標準的な建築価額表」を基に建物の取得価額を計算することができます。

  • ①新築で購入している場合の建物の取得価額
    マンションの建築年に対応する建築単価×床面積
  • ②中古で購入している場合の建物の取得価額
    ①で求めた建物の取得価額-建築年から購入年までの経過年数に応じた減価償却費

購入した時の金額がわからない場合

購入時期が古い場合など、購入金額がわからない・購入金額を証明できる資料がないことがあります。その場合は「売却した金額の5%」を取得費として計算することができ、これを「概算取得費」と呼びます。取得費が小さくなるため、譲渡所得が大きくなり税金の負担が重くなる可能性があります。

また、実際の取得費が売却金額の5%に満たない場合も概算取得費を用いて計算することが可能です。この場合は税金の負担が軽くなるため、概算取得費控除の特例と呼びます。

■売却費用

  • 売却時の仲介手数料
  • 売買契約書に貼付する印紙税
  • 売却時の測量費・建物取壊し費用など

修繕費や固定資産税などの資産維持費、家財処分費、抵当権抹消登記の費用や司法書士手数料などは売却費用に含まれません。

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