「親から相続した土地が広すぎる…」「一部だけ売って、老後の資金や家のリフォーム費用にしたい」。そんなお悩みを抱えていませんか?
所有する土地の一部だけを売却することは、まとまった資金を得るための有効な手段です。しかし、そのためには「分筆(ぶんぴつ)」という専門的な手続きが必要となり、多くの方が「何から始めればいいの?」「費用は?税金は?」といった疑問や不安を感じています。
この記事では、不動産のプロフェッショナルとして、鶴ヶ島市・坂戸市・川越市エリアで土地の部分売却を検討されているあなたのために、複雑な手続きや法律、費用、税金の全てを、誰にでも分かるように徹底的に解説します。
この記事を最後まで読めば、土地の部分売却に関する漠然とした不安は確信に変わり、損をしないための具体的な行動計画を描けるようになるでしょう。
- 土地の部分売却には「分筆登記」が必須: 1つの土地を複数に分けて、法的に独立した土地として登録する手続き。
- 手続きの鍵は「境界確定」: 隣接する土地の所有者全員と境界を確認・合意する作業が最も重要で、時間と費用を左右する。
- 専門家との連携が成功の秘訣: 土地家屋調査士、司法書士、税理士、そして地域に精通した不動産会社との連携が不可欠。
- 費用は数十万円から: 境界が確定しているか否かで大きく変動。測量費や専門家報酬で50万円以上かかるケースも珍しくない。
- 税金対策を忘れずに: 売却益には譲渡所得税がかかるが、「3,000万円特別控除」などの特例を使えば大幅に節税できる可能性がある。
- 地域ごとの規制に注意: 鶴ヶ島市・坂戸市・川越市では、土地区画整理事業や最低敷地面積など、独自のルールが存在するため事前の確認が重要。
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なぜ「分筆」が必要?土地の部分売却、基本の”キ”

そもそも「分筆」とは?
土地は、法務局で「1筆(いっぴつ)、2筆(にひつ)」という単位で管理されています。土地の一部だけを売却するということは、1つの土地(1筆)を2つ以上に分割し、それぞれを独立した土地として登記し直すことを意味します。この手続きを「分筆登記」と呼びます。

分筆を行わなければ、土地の一部分だけの所有権を他人に移転することはできません。つまり、土地の部分売却を実現するためには、分筆登記が法的に必須なのです。
分筆するメリット・デメリット
部分売却以外にも、分筆には様々なメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。計画を進める前に、両方を理解しておきましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
必要な部分だけを売却し現金化できる | 専門的な手続きが必要で費用と時間がかかる |
相続時に土地を分けやすくなり、トラブルを防げる | 土地の形状や分割方法によっては価値が下がる可能性がある |
土地の一部を担保に融資を受けやすくなる | 分筆後の土地が建築基準法などに抵触する場合がある |
固定資産税の評価額が見直される可能性がある | 隣地所有者の協力が得られないと手続きが進まない |
最も大きなメリットは、土地全体を手放すことなく、必要な資金を確保できる点です。一方で、費用と時間がかかること、そして専門家の知識が不可欠である点が大きなハードルとなります。
【完全ロードマップ】土地の分筆から売却までの9ステップ
土地の分筆から売却までの道のりは、専門家と連携しながら計画的に進める必要があります。ここでは、その全行程を9つのステップに分けて、具体的に解説します。

ステップ1: 事前準備・情報収集
まずは、ご自身の土地について知ることから始めます。
- 権利証(登記識別情報)や固定資産税納税通知書の確認: 土地の所在地、地番、面積、名義人などを正確に把握します。
- 相場の調査: 周辺の土地がいくらで取引されているか、不動産情報サイトなどで大まかな相場観を掴みます。鶴ヶ島市の土地の坪単価相場は約30万円、坂戸市では約41万円が目安です(2025年6月時点)。
- 専門家への相談: この段階で、信頼できる不動産会社や土地家屋調査士に相談を始めるとスムーズです。
ステップ2: 土地家屋調査士へ相談・依頼
分筆登記の専門家は「土地家屋調査士」です。測量から登記申請まで、一連の実務を担います。複数の事務所から見積もりを取り、実績や対応の丁寧さを見極めて依頼先を決定しましょう。
ステップ3: 法務局・役所での資料調査
土地家屋調査士は、法務局で公図、地積測量図、登記事項証明書などを取得し、役所で都市計画図や道路の情報を調査します。これにより、土地の法的な状況や規制を把握します。
ステップ4: 現地調査と境界確定測量(最重要ポイント!)
ここが分筆手続きで最も重要な工程です。土地の正確な境界線を明らかにするため、専門的な測量を行います。もし、過去に測量が行われておらず、境界が不明確な場合(筆界未定)、隣接するすべての土地所有者との間で境界を確認し、合意形成する「境界確定測量」が必要になります。この作業には数ヶ月を要することもあります。
ステップ5: 隣地所有者との境界立会い
測量結果をもとに、隣接する土地の所有者全員に現地で立ち会ってもらい、境界を確認・合意します。官有地(道路や水路など)に接している場合は、市役所などの担当者との立会いも必要です。全員の合意が得られたら、「筆界確認書(境界確認書)」という書類を作成し、署名・捺印をもらいます。
ステップ6: 境界標の設置
確定した境界点には、コンクリート杭や金属標などの永続的な「境界標」を設置します。これにより、将来的な境界トラブルを防ぎます。
ステップ7: 分筆登記の申請
すべての準備が整ったら、土地家屋調査士が法務局へ分筆登記を申請します。申請から登記が完了するまでは、通常1〜2週間程度です。登記が完了すると、分割された土地に新しい地番が付与され、法的に独立した土地として認められます。
ステップ8: 不動産会社と売却活動
分筆登記と並行して、または完了後に、不動産会社と媒介契約を結び、売却活動を開始します。地域に精通し、土地売却の実績が豊富な会社を選ぶことが、高値・早期売却の鍵となります。
ステップ9: 売買契約・決済・引き渡し
購入希望者が見つかったら、売買契約を締結します。その後、買主から売買代金を受け取り、土地の所有権を買主に移転する「所有権移転登記」(司法書士が担当)を行えば、すべての手続きが完了です。
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お金の話、全部見せます!分筆・売却にかかる費用と税金
土地の部分売却で最も気になるのが「お金」の話。ここでは、かかる費用と税金を包み隠さず解説します。
分筆にかかる費用
分筆登記にかかる費用は、主に土地家屋調査士への報酬と、法務局に納める登録免許税です。
- 土地家屋調査士への報酬: 土地の状況によって大きく変動しますが、境界がすでに確定している場合で10万円~50万円程度、境界確定測量が必要な場合は50万円~100万円以上かかることもあります。費用は土地の面積、形状、隣接地の数などによって変わるため、必ず事前に見積もりを取りましょう。
- 登録免許税: 分筆後の土地1筆につき1,000円です。例えば、1つの土地を2つに分ける場合は2,000円が必要になります。
売却にかかる税金
土地を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して所得税と住民税が課税されます。
譲渡所得の計算方法:譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)
- 取得費: その土地を過去に購入したときの代金や手数料など。不明な場合は、売却価格の5%を概算取得費とすることができます。
- 譲渡費用: 仲介手数料、測量費、印紙代など、売却のために直接かかった費用です。
所有期間で税率が大きく変わる!
税率は、土地を所有していた期間によって決まります。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうかで判断します。
区分 | 所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計税率 |
---|---|---|---|---|
長期譲渡所得 | 5年超 | 15.315% | 5% | 20.315% |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30.63% | 9% | 39.63% |
【節税の切り札】3,000万円特別控除の活用術
マイホーム(居住用財産)の敷地の一部を売却した場合など、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
シミュレーション例:所有期間10年の土地(取得費800万円)の一部を3,000万円で売却。譲渡費用が200万円かかった場合。
– 譲渡所得: 3,000万円 – (800万円 + 200万円) = 2,000万円
– 特例適用前: 2,000万円 × 20.315% = 約406万円 の税金
– 特例適用後: 2,000万円 – 3,000万円 = 0円 (マイナスなので課税なし)
このように、特例を使えるかどうかで納税額に大きな差が生まれます。適用要件は複雑なため、必ず専門家にご相談ください。
【地域別】鶴ヶ島市・坂戸市・川越市ならではの重要チェックポイント

土地の売却には、全国共通のルールの他に、市町村ごとに定められた独自の規制があります。ここでは、鶴ヶ島市・坂戸市・川越市で特に注意すべき点を解説します。
鶴ヶ島市の注意点:土地区画整理事業の完了に伴う変化
鶴ヶ島市では、近年大きな都市開発が進んでいます。特に以下の地区では注意が必要です。
【超最新情報】若葉駅西口・一本松地区の換地処分
坂戸都市計画事業「若葉駅西口地区」および「一本松地区」は、令和7年(2025年)1月31日に換地処分公告が行われ、翌日の2月1日から新しい地番・住所に切り替わります。
これに伴い、これまで必要だった以下の手続きが不要になります。
– 土地区画整理法第76条に基づく建築等の許可申請
– 土地の分筆・合筆前の施行者への事前確認
– 仮換地証明書等の発行
このエリアで土地売却を検討している方は、最新の状況を正確に把握することが極めて重要です。
坂戸市の注意点:区画整理事業区域内の制限
坂戸市内にも、現在進行中の土地区画整理事業区域があります。
- 土地区画整理法第76条の許可申請: 事業施行地区内で、建物の新築・改築、土地の形質変更(切土・盛土など)、移動しにくい物の設置などを行う場合、坂戸市長の許可が必要です。申請から許可まで10日程度かかるとされています。分筆して買主が家を建てるようなケースでは、この許可が必須となるため、事前に区画整理課への確認が欠かせません。
- 保留地の分筆制限: 区画整理事業によって生み出された保留地を購入した場合、原則として分筆することができません。
川越市の注意点:歴史的景観と相談窓口
「小江戸」として知られる川越市では、独自の規制が存在する可能性があります。
- 景観条例など: 歴史的な街並みを守るため、建物の高さやデザインに制限が設けられているエリアがあります。売却後の土地利用に関わるため、事前に都市計画課などで確認が必要です。
- 無料の登記相談: 川越市役所では、土地家屋調査士による無料の表示登記相談(予約制)を定期的に開催しています。専門家に直接相談できる貴重な機会なので、川越市在住の方は活用を検討すると良いでしょう。
3市共通の注意点:最低敷地面積
各市では、良好な住環境を維持するために、条例で「最低敷地面積」が定められている場合があります。例えば、「100㎡未満の土地には家を建てられない」といったルールです。分筆した結果、それぞれの土地がこの面積を下回ってしまうと、建物の建築ができない「価値の低い土地」になってしまう恐れがあります。分割計画を立てる際には、必ず役所の建築指導課などで確認しましょう。
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失敗しない専門家選びのコツ
土地の部分売却は、様々な分野の専門家の協力があって初めて成功します。それぞれの役割を理解し、信頼できるパートナーを見つけることが重要です。
- 土地家屋調査士: 測量と分筆登記のプロ。正確な測量技術と、隣地所有者との円滑な調整能力が求められます。
- 司法書士: 所有権移転登記や抵当権抹消登記など、権利に関する登記のプロ。相続が絡む場合は特に重要な役割を担います。
- 税理士: 譲渡所得税の計算や節税対策(特例の適用判断など)のプロ。
- 不動産会社: 売却戦略の立案、価格査定、販売活動、契約手続きのプロ。特に、鶴ヶ島市・坂戸市・川越市といった地域情報に精通していることが、適正価格での売却成功に直結します。
これらの専門家を個別に探すのは大変な労力がかかります。不動産会社の中には、各専門家と連携し、一連の手続きをワンストップでサポートしてくれるところもあります。
まとめ

土地の部分売却は、あなたの資産を有効活用し、ライフプランの可能性を広げる素晴らしい選択肢です。しかし、その成功は、「分筆」という専門的な手続きをいかに計画的かつ正確に進めるかにかかっています。
- ステップを理解し、計画的に進めること
- 費用と税金の全体像を把握し、資金計画を立てること
- 鶴ヶ島市・坂戸市・川越市それぞれの地域特性を考慮すること
- そして何より、信頼できる専門家をパートナーに選ぶこと
これらのポイントを押さえることが、後悔しない土地売却への最短ルートです。手続きは複雑で、専門的な判断が求められる場面が多々あります。少しでも不安や疑問を感じたら、一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください。
株式会社ホームラボでは、鶴ヶ島市・坂戸市・川越市エリアの不動産に関するあらゆるご相談を無料で承っております。経験豊富なスタッフが、分筆手続きから税金対策、売却戦略まで、あなたにとって最善のプランを一緒に考え、ワンストップでサポートいたします。まずはお気軽にお問い合わせください。
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FAQ よくある質問
- 分筆登記は自分でできますか?
-
法律上は可能ですが、専門的な測量技術、法律知識、専用のCADソフトが必要なため、現実的ではありません。測量や境界確定には隣地所有者の合意が不可欠であり、トラブルを避けるためにも、専門家である土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。
- 手続きにはどれくらいの期間がかかりますか?
-
土地の状況によって大きく異なります。隣地との境界がすべて確定している場合は、依頼から登記完了まで1〜2ヶ月程度です。しかし、境界確定測量が必要な場合は、隣地所有者との調整に時間がかかり、3ヶ月〜半年、場合によっては1年以上かかることもあります。
- 隣地の所有者と連絡が取れない、または立会いに協力してくれない場合はどうなりますか?
-
手続きが非常に難航します。不在者財産管理人制度の利用や、最終的には「筆界特定制度」や裁判(境界確定訴訟)といった法的な手続きが必要になる場合があります。時間も費用も余計にかかってしまうため、粘り強い交渉が求められます。このようなケースこそ、経験豊富な専門家の腕の見せ所です。
- 売却せずに、将来の相続のために分筆だけしておくことは可能ですか?
-
はい、可能です。将来、相続人が複数いる場合に土地をスムーズに分割できるよう、事前に分筆しておくことは「争族」対策として非常に有効です。ただし、分筆には費用がかかるため、計画的に行う必要があります。
- 測量費用を安く抑える方法はありますか?
-
過去の測量図や境界標など、境界に関する資料が手元にあれば、調査士の作業が減り、費用を抑えられる可能性があります。また、複数の土地家屋調査士事務所から見積もりを取り、比較検討することも重要です。ただし、単に安いだけでなく、実績や信頼性も考慮して選ぶことが大切です。
- 親から相続した土地ですが、すぐに売却できますか?
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まず、土地の名義を親からあなた(相続人)に変更する「相続登記」が必要です。この登記が完了していないと売却することはできません。相続人が複数いる場合は、遺産分割協議を行い、誰が土地を相続するかを決定する必要があります。相続登記は司法書士の専門分野です。